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健康談話-活脳 Vol.2

掲載日:2015年12月22日 執筆者:久保長生(脳神経外科・医学博士)

 2002年から始まった健康談話-活脳はVol 1で止まっていましたが、ホームページの刷新から、再開させていただくことになりました。
21世紀は脳の世紀、環境の世紀であり、脳を守るなど多くのスローガンがあり、2015年まで過ぎてしましました。
最近は環境問題から社会問題が極めて複雑になり、病気も多岐にわたっております。

第1回は生活習慣病についてでしたが、今回は脳がいかに重要か、皆様がご自分の脳に無関心ではいられないことについて述べてみます。

 その前に貝原益軒(1630-1714)は83歳のときに養生訓を書きました。
彼は医学,本草学(薬学)、地理学、儒学、歴史学に通じる学者です。
「養生の基本は:人間本位、現世本位、世界観で、人間の寿命は100歳であるが(この時代の平均寿命は50歳である)、
これは10人中9人は自ら損なえる。ここに養生訓の原点があると述べています。
さらに体本来の「伸び行く力」を自然に伸びるように仕向ける。
具体的には心を静平に保ち体を絶えず動かすこと! 

心を静平とは?
1)じっとしているのではない
2)心は絶えず働いている
3)むらなく無理なく---働かせる---適度の運動、 適度の労働と考えていました。

では心の養生とは---
すなわち---畏る(おそるる)の字これなり。畏るとは身を守る心法なり。
慎む:自己検討、
外敵:暑,寒,湿,乾--
畏るとは外敵を防ぐ力:
内敵:飲み、食い、怒り--- 
忍ぶとは内敵に勝つ力 まとめるとこのようになります。  


 高いサプリメントを常用するより、今世紀にも充分通用する健康-養生法ではないでしょうか。
生活習慣病と脳に病気とは―血管病態--動脈硬化症に結びつき―さまざまな体の病気の原因や病態に関係します。

生活習慣病の中で高脂血症 :血中のLDLが増加すると一部が酸化されて変性LDLとなり、血管内皮細胞を傷害するから。
高血圧 :血管透過性が亢進して血漿成分が内膜に浸透しやすい環境となる。
喫煙 :ニコチンや一酸化炭素が内皮細胞を傷害する。
糖尿病 :糖尿病は細胞内グルコースはある酵素の働きでソルビトールを経てフルクトースへと代謝される。
そして、脂質代謝の異常から高脂血症を招き、動脈の内膜に脂質が蓄積して粥状硬化をもたらす。

またソルビトールの増加による血管細胞の変性や酵素非依存性糖添加による血管基底膜の変化も動脈硬化への一因となる。  
今回は脳に関する病気について述べます。脳血管障害すなわち脳卒中です。
1)血管破綻------- 脳出血、クモ膜下出血、
2)血管閉塞------- 一過性脳虚血発作、ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、心原性脳梗塞などに分けられます。
3)血管破綻---- 脳出血、クモ膜下出血:これは脳神経外科の分野です。

 しかし、近年高血圧に関する啓蒙と指導で脳出血は減少しています。
またクモ膜下出血も脳ドックの普及で未破裂脳動脈瘤の発見でその治療は予防的になされています(開頭クリッピング、血管内手術(コイル閉塞)。
次に 血管閉塞----- 一過性脳虚血発作、ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、心原性脳梗塞。 
これらは脳外科と神経内科の協力――脳卒中センターの普及--これにより予防から、
早期発見、超早期治療などまでと治療体制が整いつつあります。

 しかし、われわれは自分なりにこれらの病気にならないように、活脳から勝つ脳で脳を守りたいものです。
生活習慣病は文明社会が生み出した病気ではあるが、文明社会はこれを超えて寿命を延ばす効果をはたしていることも事実であります。
現代社会では生活の乱れによる死亡も無視できず、われわれは絶えず不慮の死にも直面します。
命の尊さを知りつつ、生活の中から健康のありがたさを考えてみましょう。